野菜と糖質
糖質の種類によって甘味の質は変わる。

野菜の糖質について解説します。今回は糖質の種類と甘味の質の違い。
チャンク農園

スイートコーンはショ糖。さつまいもは麦芽糖。

収穫前のスイートコーン(写真)収穫前のスイートコーンみなさんは収穫したてのスイートコーンを食べたことがありますか。穫りたてのスイートコーンの甘さといったらもう強烈ですね。うわっと声が出そうなくらい甘い。このスイートコーンの甘味はショ糖(スクロース)によるものです。
 一方、さつまいもも甘味が評価のポイントになる野菜でしょう。安納芋のような非常に甘い品種が出てきて以降、甘さが評価基準になっていますね。さつまいもの甘味は麦芽糖(マルトース)によるものです。この2つの野菜、甘味の質が違うように感じますが皆さんはいかがでしょうか。

■スイートコーン/未熟種子、生
炭水化物 16.8g
食物繊維 3.0g
糖質 13.8g(単糖当量12.5g)
※日本食品標準成分表2015年版より

■さつまいも/塊根、皮つき、生
炭水化物 33.1g
食物繊維 2.8g
糖質 30.3g(単糖当量31g)
※糖質より単糖当量が多いのは換算係数により求められた質量であるため
※日本食品標準成分表2015年版より

メロンの糖質は品種によって違う。

メロンも食べ始める前に甘さが気になる野菜ですよね。メロンの糖質の種類は品種によって違ってきます。
 高級メロンであるマスクメロンはブドウ糖や果糖の割合が多く、一般的な露地栽培のメロンはショ糖の割合が多いようです。食べ比べをしてみるとわかるかと思います。糖質の種類が違うと甘味の質も違ってきます。マスクメロンと一般のメロンでは甘味のさわやかさ、上品さが違うかと思います。
 ちなみに、メロンというのは収穫後に徐々に甘くなったりはしません。追熟することで甘くなるような感じがしますが甘さは収穫時の甘さが維持されますので収穫のタイミングが難しようです。

■温室メロン/生
炭水化物 10.3g
食物繊維 0.5g
糖質 9.8g(単糖当量9.6g)
※日本食品標準成分表2015年版より

徐々に甘くなる野菜。徐々に甘くなくなる野菜。

土付きのさつまいも(写真)土付きのさつまいも先ほどスイートコーンとさつまいもの糖質を比較しましたが、この2つには他にも違いがあります。
 さつまいもは収穫した直後より2〜3週間おいた方が甘くなります。これは酵素βアミラーザによってでんぷんが麦芽糖(マルトース)に分解されるからです。焼き芋を作るときにできるだけ低温でゆっくり加熱した方がいいのは、あまり温度が高いとβアミラーザが失活(しっかつ)して分解が進まないからです。ですからレンジでチンよりもオーブンなどでゆっくり加熱した方が甘味が出ます。

一方、スイートコーンはでんぷんではなくショ糖のまま糖質を蓄えています。ですので穫り立ての生でも甘いわけです。さつまいもとは逆に収穫後は、ショ糖がでんぷんに変わっていくことで甘味が減少していきます。スイートコーン自体の生命活動(呼吸)でも糖分が消費されていきますので1日あたり1%〜3%ほど糖分が減少していくと言われています。市場に出回るスイートコーンは収穫後0℃付近の低温で冷やしてから流通にのせることで鮮度落ちをできるだけ防いでいます。

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(ご参考)文部科学省『日本食品標準成分表2015年版

文:チャンク農園園長

最終更新日:2018年5月18日