にんにく栽培の基本
にんにくの防除(病気の予防)の注意点。

にんにくは家庭菜園でも作られる方が多いですね。そこで、間違いやすい栽培のポイントをいくつか解説します。今回は防除(病気の予防)と病気になった場合の対処方法です。
チャンク農園

病気の菌は冬に飛んでくる。

にんにく栽培 当農園にて1月12日に撮影(写真)当農園にて1月12日に撮影にんにくの一般的な病気のひとつに春腐病(はるぐされびょう)があります。文字通り、春になりますと株元から腐ったように柔らなくなってしまう病気ですね。この病気の菌(細菌)は春に飛んでくるのではなく11月〜1月頃の寒い時期に既に飛んできています。この時期に感染した株が暖かくなった頃に発病します。

にんにくの病気の予防は春では遅い。

ですから春になったから病気の予防をしようでは遅いんですね。11月〜1月の寒い時期に予防をすることで感染を防ぐことが重要です。当農園は農薬を使いませんので農薬による予防はできませんので、代わりに微生物(乳酸菌・酵母菌・納豆菌など)の混合液を作りまして病気の予防をしております。強い風や雨などに打たれ苗が痛むと病気に感染しやすくなります。こうしたタイミングで微生物の混合液を株元、葉面に散布してあげるのが効果的です。土作りもしっかりやっておくことで豊かな生態系ができあがれば病気に強い畑になるかと思います。

特に問題がなくても1000株に1株は病気になる。

にんにく栽培 春先は病気が出やすい時期 当農園にて3月14日に撮影(写真)春先は病気が出やすい時期 当農園にて3月14日に撮影冬が明け気温が上がってきますと病気が出やすくなります。この時期に雨が多いと過湿状態になりやすいですから病気の発生率が上がります。
 予防などをしていても病気になる株はどうしても発生します。通常は0.1%ほどと言われています。つまり1000株に1株の割合です。逆に言いますとその程度の発生率であれば冷静に対処すればなんら問題はないと言えます。
 病気になった株のことを罹患(りかん)株と言います。病気の発生している株の割合を罹患(りかん)率と言います。通常は先ほど書きましたように罹患率は0.1%程度。もし、罹患率が1%を超えるようなことがありますと、病気が大発生している状態となります。小売価格にも影響が出てきます。たった1%で?と思われるかもしれませんが、1%の罹患率でも確実に野菜の値段はかなり上がります。

罹患株は早めの除去が基本。

にんにく栽培 春腐病と思われる株 当農園にて4月11日に撮影(写真)春腐病と思われる株 当農園にて4月11日に撮影さて、病気になった株があった場合の対処ですが早めに見つけてすぐ処分することがとても大事です。放っておきますと病気はどんどん広がりますので、その前に抜いて処分するということです。
 にんにくの場合は、葉に病斑が出たり、軸が軟化する(柔らかくなる)ことが多いでしょう。軸が柔らかくなった場合は、本来、垂直に立っている軸が傾いて草丈が周りの株に比べ明らかに低くなりますのですぐわかると思います。こういう株を見つけたらすぐ抜いてください。軸が柔らかくなっていますから抜こうとすると途中で切れてしまいますね。土の部分から掘り起こして球や根の部分も含めてきれいに除去してください。

 気がついたときにはすでに罹患率が0.1%を上回っているような場合は一般的には薬剤を使うことになります。ただし、当農園は無農薬ですので薬剤の代わりに乳酸菌を散布しますが、薬剤にしろ乳酸菌にしろ病気を治すことはできませんので、あくまでもそれ以上広がらないようにしているだけです。ですので大事なのはとにかく早めに見つけて処置をするということに尽きます。

※ここに書きました話は基本的に南方系にんにくの話になりますので北方系はまた多少話が違うこともあろうかと思いますのでご了承ください。

チャンク農園
最後までお読みいただきありがとうございます。当農園は香川県最大級の無農薬・無化学肥料にんにく農園です。にんにくについて何かご質問などありましたらお気軽にメールをお送りください。

文:チャンク農園園長

最終更新日:2018年5月18日