にんにく栽培の基本
にんにくの収穫と乾燥作業。
にんにくの芽を穫ってから25〜30日が収穫日(上海早生の場合)。
(写真)にんにくの収穫適期当農園で栽培している上海早生(しゃんはいわせ)の場合は、にんにくの芽を穫ってから25〜30日が収穫日となります。にんにくの芽を穫ってから25日が近くになってきたら試しに何本か抜いてみて図のような形(お尻の部分が水平か、軽く引っ込んでいる程度)になっていたら収穫OKです。
図の左の状態では球がまだ大きくなりますので収穫には少し早いと言えます。逆に右の状態まで行きますと裂球(全体を包んでいる薄皮が割れた球)が発生してきますので収穫には少し遅いと言えます。ただ、家庭菜園などで作られる場合は、裂球したとしても品質上は問題ないので(裂球は見た目だけの問題なので)、早いよりは多少遅い方がいいかもしれません。ドンピシャで適期に収穫するというのは難しいですからね。
収穫直前では葉の3〜5割ほどが黄変しているはずです。にんにくの芽をいつ穫ったのか忘れてしまった場合は黄変の進み具合をみて目安をつけていきましょう。
収穫後は3〜4時間、天日乾燥させるとその後の乾燥がスムーズ。
(写真)にんにくの収穫 天日乾燥収穫したにんにくは乾燥させることで長期保存が可能になります。乾燥させずに食べるにんにくを生にんにくと言ったりしますが、当農園では一部のにんにくを除き収穫後は乾燥工程に入ります。
収穫後、畑の上に3〜4時間ほど置いて天日に当てるとその後の乾燥もスムーズです。天日に当てることで表面の水分がかなり飛びますので、その後にカビが出にくくなり、あとは軒下に吊すなどしてじっくり乾燥させればよいでしょう。
当農園の場合は栽培量が多いですから専用の乾燥設備に入れます。乾燥設備に入れるにあたって茎は5cmほど残して落とし、根も切っておきます。根を付けたままにしますと乾燥に時間がかかりますので大ざっぱでもよいので落とした方がいいでしょう。軒下などに吊す場合は茎はもう少し長く残しておいた方がいいでしょうね。
30〜40%減量できたら乾燥完了。
(写真)にんにくの乾燥設備が併設されている高松南部カントリーエレベーター乾燥設備に入れて30〜40%ほど減量できたら(水分が飛んだら)乾燥完了です。天日干しですと15%ほどまでは簡単に水分が飛びますが、それ以降はかなり日数がかかるでしょう。量が多いとなおさらです。ですので当農園の場合はJAが運営しておりますにんにくの乾燥設備に入庫します。乾燥完了までは2〜3週間かかります。
乾燥が不十分ですと長期保存中に痛みが出やすくなります。また、黒にんにくなどに加工する場合は水分が多いと水っぽくなりますね。ですので十分乾燥させてください。
(写真)出荷前の仕上げ作業乾燥施設では1kg分だけネットに入れておいて、これを定期的に計量していくことで乾燥具合を判断します。ご家庭で乾燥させる場合は500gの束でもいいので始めに計っておくといいでしょう。乾燥が完了したものは茎を1.5cmほど残して落としお尻の部分をきれいに削り表皮を2〜3枚剥がして完成です。
スポンジ球とは。
にんにくはご存じのように鱗片に分かれていますが、鱗片に分かれずに1つの大きな球になって収穫できてしまったものをスポンジ球といったりします。スポンジ球の発生は冬期の寒さの不足が原因と言われています。実際、暖冬だった翌年の収穫はスポンジ球の発生率が上がる傾向にあります。
寒さに対する要求量は北方系にんにくより南方系にんにくの方が少ないので、家庭菜園などでスポンジ球が発生する場合はご自分の地域と品種が合っているかどうかを再確認されるのがよいかと思います。にんにくの品種選びについてはこちらの記事「にんにくの品種選びで気をつけたいこと2つ。」もご参考ください。
「大玉が獲れない=肥料が少ない」ではない。
勘違いされる方が多いようですが、大きなにんにくが獲れない原因が肥料が少ない(肥料が効いていない)と思われる方が多いようです。たしかに、肥料が少ない(肥料が効いていない)と小玉(小さなにんにく)になりますが、肥料が多すぎても(肥料が効きすぎても)、小玉になりすいことがわかっています。肥料が多すぎるために栄養成長過多になるんですね。
にんにくは栄養成長(カラダを大きくする成長)から生殖成長(子孫を残すための成長)に切り替わった後に球が肥大します。ですので適切な時期にこの切り替えが行われないと、りん片の充実が悪く小玉につながります。肥料は適量を心がけるようにしてください。肥料が多すぎると病気などの原因にもなります。
※ここに書きました話は基本的に南方系にんにくの話になりますので北方系はまた多少話が違うこともあろうかと思いますのでご了承ください。
文:チャンク農園園長
最終更新日:2019年2月12日