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茎にんにく解説

国産にんにくの芽(茎にんにく)はなぜ少ない? その理由2つを解説。

にんにくの芽と言いますと中国産が多いですね。なぜ国産は少ないのでしょうか。その理由と併せて、にんにく芽の旬の時期や栄養価についてもご説明させていただきます。執筆はチャンク農園園長兼日本野菜ソムリエ協会認定 野菜ソムリエプロがさせていただきます。
チャンク農園 園長 日本野菜ソムリエ協会認定 野菜ソムリエプロ

誤解されやすい、にんにくの芽。

にんにくの芽(茎にんにく)冒頭から話しがややそれてしまうのですが、保存しておいたにんにくから芽が出ることがありますね。これをにんにくの芽と思っている方が結構いらっしゃるような気がします。一般に、にんにくの芽として売られているものはにんにくの花茎(かけい)の部分になります。にんにくの収穫の3週間くらい前に伸びてきた花茎(先端に花をつける茎)を切り取ります。摘蕾(てきらい)と言いますが、これがにんにくの芽の正体です。正しくは茎にんにくと言います。
 写真をご覧いただくとお分かりいただけるかと思いますが、花茎(かけい)ですから先端に蕾み(つぼみ)が付いていますね。先端の蕾みの部分をカットして茎の部分だけで売られている場合もありますが、いずれにしても保存しておいたにんにくから出てきた芽ではなんですね。まず、この誤解を解いておきたいと思います。

国産にんにくの芽(茎にんにく)が少ない理由1
芽が出ないにんにくの方が多い。

同じに見えますにんにくにも何種類か品種があります。大きくは2つに分かれますが、ひとつは北方系(寒地型)と言われ東日本で栽培されているもの。もうひとつが南方系(暖地型)と言われ四国や九州で栽培されているものです。
 ご存じのように全国1位のにんにくの産地といいますと青森県です。日本のにんにくの約7割は青森県で栽培されていて、このエリアの代表的な品種が「福地ホワイト」といわれるものですが、実はこの福地ホワイトが芽が出ない(にんにくの芽が穫れない)んですね。

 正確に言いますと、花茎(かけい)はあるのですが、極めて短い、あるいはほとんど無い。あるいは花茎が伸びることもあるが、ほとんどは伸びない。専門的にはこれを不完全抽苔(ふかんぜんちゅうだい)と言います。抽苔(ちゅうだい)という言葉は一般の方はほとんど聞いたことがないかと思いますが、植物が花を咲かせるために蕾みの付いた茎を伸ばすことを抽苔(ちゅうだい)と言います。とう立ちとも言います。先ほどご説明したようににんにくの芽(茎にんにく)とは抽苔(ちゅうだい)した茎のことですから、抽苔(ちゅうだい)しないことにはにんにくの芽(茎にんにく)は穫れないということになります。

 一方、南方系のにんにくはほとんどの品種が抽苔(ちゅうだい)します。つまり、にんにくの芽(茎にんにく)が穫れるということですね。全国2位のにんにくの産地である香川県(知らない方が多いですね!)で栽培されている代表的な品種に上海早生(しゃんはいわせ)がありますが、それこそ70センチ以上の実に大きなにんにくの芽(茎にんにく)が穫れます。ただ、全国2位の産地と言っても、全国シェアで言いますと約4%しかありません。それほど青森県の栽培量が圧倒的ということなのですが、残念ながらその青森県の代表的な品種「福地ホワイト」がにんにくの芽(茎にんにく)が穫れないことが国産のにんにくの芽(茎にんにく)が少ない理由のひとつです。

国産にんにくの芽(茎にんにく)が少ない理由2
農薬を使っていると出荷できない。

上海早生(しゃんはいわせ)もうひとつの理由は農薬の問題です。当農園は農薬を使っておりませんので、これは農薬を使用している生産者の方から伺った話しです。日本には農薬取締法という非常に厳しい法律があります。残留農薬が残らないように、野菜の品目ごとに使用していい農薬の種類、量、回数が決められています。
 にんにくは、球にんにく(いわゆるにんにくのこと)を作ることが目的で栽培されることがほとんどですから、農薬も球にんにくを栽培する上で許可されているものが使われます。量や回数についても球にんにくを基準に使用されています。その基準通りに農薬を使っていると、その栽培途中で穫れるにんにくの芽(茎にんにく)は出荷できないんですね。にんにくの芽(茎にんにく)用に許可されている農薬の内容と違うからなんです。これが2つ目の理由になります。
 そう考えますと実質、にんにくの芽(茎にんにく)を出荷できるのは無農薬農家だけということになりますが、現在、有機農産物のシェア(栽培面積)は全体の0.5%程度と言われています。ですから、国産のにんにくの芽(茎にんにく)はほんとに数が少ないということなんですね(私もこの文章を書きながら改めてその少なさにびっくりしました!)。ちなみに中国産のにんにくの芽(茎にんにく)は、にんにくの芽(茎にんにく)用に品種改良されたものです。球にんにくを作る過程で穫れたものではなく始めからにんにくの芽(茎にんにく)を穫ることを目的に作られたもので農薬も使われています。

にんにくの芽(茎にんにく)の旬は?
香川県の場合は4月上旬〜中旬。

さて、話は変わります。にんにくの芽(茎にんにく)の旬はいつでしょうか? これは栽培エリアによって多少変わってきます。香川県の場合でご説明しますと、4月上旬〜中旬がにんにくの芽(茎にんにく)の旬になります。
 各県にはそれぞれ品目ごとの標準的な栽培スケジュールがあります。JA(農協)が作りました推奨スケジュールというものですが、このスケジュール表で言いますと香川県の場合は4月上旬から中旬が先ほどご説明した摘蕾(てきらい)の時期となっています。摘蕾(てきらい)とは、伸びてきた蕾みをつけた茎を取ることですね。つまり、この作業でにんにくの芽(茎にんにく)が穫れるわけです。
 この旬の時期(摘蕾(てきらい)をおこなう時期)は県によっても多少違いますし、同じ県でも品種が違えば多少時期が違ってきますが、3月に摘蕾(てきらい)を行うことは無いと思いますので早くて4月初旬。遅いところでも5月の初旬くらいだと思われます。いずれにしても、1年のうちで国産のにんにくの芽(茎にんにく)が食べられるのは4月上旬から5月上旬の1ヶ月程度ですので、ぜひ、この時期に旬の風味を味わっていただきたいですね。中国からの輸入野菜はほとんどが冷凍した状態で輸入されますが、やはり、おいしさ、栄養価・・・いろいろな面で旬のものを旬の時期にいただくというのが一番よいかと思います。

にんにくの芽(茎にんにく)の栄養価は?
ビタミンA、Cが多い緑黄色野菜。

にんにくの茎炒め最後ににんにくの芽(茎にんにく)の栄養価について少しご説明しますと、にんにくの芽(茎にんにく)は緑黄色野菜です。緑黄色野菜とはβカロテンを豊富に含む野菜(100グラム中にカロテンを600マイクログラム以上含有する野菜)のことですが、βカロテンはすなわちビタミンAのことですので、にんにくの芽(茎にんにく)はビタミンAが多いと言ってよいかと思います。また、ビタミンCも比較的多いですね。球にんにく(いわゆるにんにく)はビタミンB系が多いですから、同じにんにくでもにんにくの芽(茎にんにく)と球にんにくは別の野菜と考えてよいかと思います。
 ビタミンAは脂溶性のビタミンですから油と一緒に食べることで効率よく吸収できます。ですので、炒め物などが適していることになります。にんにくっぽい香りはしますが、にんにくほどキツくなく、ものによっては甘味もありますので、ざくざく切ってお肉などと炒めてお食べいただくのがにんにくの芽(茎にんにく)の風味を一番よく味わえる食べ方かなと思います。

チャンク農園 園長 日本野菜ソムリエ協会認定 野菜ソムリエプロ
最後までお読みいただきありがとうございます。当農園は香川県最大級の無農薬・無化学肥料にんにく農園です。にんにくについて何かご質問などありましたらお気軽にメールをお送りください。

(ご参考)文部科学省『日本食品標準成分表2015年版

文:チャンク農園園長 日本野菜ソムリエ協会認定 野菜ソムリエプロ

最終更新日:

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